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■第9回 「ケルベロスの島」の巻 その1

 最近、DVDの発売ラッシュということで、過去の作品が次々に発売されています。
明瀬の参加した作品も次々に出るのでなんだか複雑な心境なのですが、今回はその中の一つ「ケルベロスの島」こと 「ケルベロス 地獄の番犬」のお話。

バブル時代も先が見え、景気も後退が始まりつつあった1990年、明瀬は東映をやめて土方をやっていた(東京都庁の建設現場で働いていました)。
元々フリーだったので映像の仕事がないと建設現場に行けばなんとでもなる。
そんないい時代でもありました。
「仮面ライダーブラックRX」でボスガン隊長のスーツアクターをやっていた、藤木義勝氏とは同県人でもあり、東京の家も近所だったので、いつしか同じ現場で働くようになりました。

そんな生活が半年以上にもなり、すっかり肉体労働者 (映画業界も肉体労働者ですが)が板についた頃、学生時代の先輩から、今度16ミリ映画をやるので手伝ってくれないかと誘われました。
作品は「蒼き風の伝説」です。
藤木氏はちょっと3枚目の刑事役で明瀬は制作チーフで参加しました。

この作品の事はまたいずれ別の項に譲るとして、久しぶりの現場でリハビリした明瀬は、次の現場があるんだけどと一冊の台本を渡されました。
黒い表紙に白文字で「ケルベロスの島」と書かれた劇場映画の台本。
監督は押井守。
高校時代に「うる星やつら」を見てはいましたし「赤い眼鏡」をみて影響を受けていた明瀬はその仕事を受ける事にしました。

当時も今も、TV特撮ヒーロー物では予算的に海外ロケは不可能でしたが、劇場映画の一部、大手の会社CMは必ずと言っていいほど海外ロケが主流でした。
今回の作品も全体のほとんどを海外ロケで行う物でした。
台湾に一ヶ月、香港に2週間、日本パートも約2週間程度。
大体、台湾ってどこにある国なのか?どんな所にあるのか?恥ずかしながら全く知らなかったのです。
聞けば、日本とは国交が無い。
エッ!!これはえらいことになったと思いました。
とんでも無い所に行くのでは?と、正直不安で不安でなりません。
日本の外へ出るのは初めてなのですから不安倍増です。

とりあえず挨拶ができるようにならなければと簡単な中国語の本を読み、小学生の頃聞いた北京放送の中国語講座のテキストを引っ張り出しての焼け石特訓です。
でも重大な事に気が付きました。
香港は広東語だった…。
(次回につづく)